[日記]沖縄の歌

父は沖縄本島から少し離れた小さな島の出身。父の田舎から送られてくる小包には、本土では食べられていない珍しい食べ物が入っていた。豚の顔(チラガー)や舌(シバ)を味噌漬けしたもの、豚足(テビチ)。マンゴーやドラゴンフルーツ。戦争の歴史もあるのか、アメリカのお菓子もたくさん入っていた。島には帰らないと父には決意があったのか、大人になるまで島の話を聞いたことがなかった。

自分から話さないけど、大切で好きな場所なんだなぁと感じた時がある。
みんなでカラオケ行った時のこと。あと1曲で終わろうかという時に、父がこう言った。
「いろんな歌がいっぱいあるけど、お父さんの島の歌、沖縄の歌を1つでもいいから知っておいてね」
歌った曲はBEGINの「島人ぬ宝」。父の育った自然いっぱいの歌とそれをのせる音階。大切なものが何なのか、まだ幼かったけど、心にスッと入ってきた。
口下手で何かを語るような父ではないけれど、時々話す短い言葉に見える、父の心の風景を感じことができた。

沖縄が本土に復帰して、甲子園で沖縄尚学が初優勝した時はとんで家に帰ってきた。あちこちのスポーツ番組を一緒に見た。喜んでいた父の姿。テレビが沖縄の歴史のことを伝えていると、「ヤマトンチュウ」やら「ウチナンチュウ」やら、聞いたことのない方言が聞こえてきた。日本という一つの国だと思っていたけど、分かれているのかなと幼いながらに思った。

きっと父の影響だろう。沖縄のアーティストの歌たくさん聞くようになった。
時々海を見に行きたくなる。風を感じたくなる。

しばらく、父との思い出も忘れていたけど、たまたまYoutubeで上がってきた「島人ぬ宝」を聴いた時、そんな思い出が蘇ってきた。
昨日、寝る前にそんなことを思いながら、色々な沖縄の音楽を聴いた。寝るのが遅くなってしまったけど、しばらく会っていない父に会ったような気持ちになった。

そうか、もうすぐ父の日だ。

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